アクアスター技術ブログvol.8　「アクアスターの品質管理2」

2022/09/22

こんにちは。社内イラストレーターの田中です。
前回は、アクアスターの品質管理について、キャラクターイラストラフの制作工程を通してご紹介をさせていただきました。

前回記事：https://aqua-star.co.jp/blog/illustrator-skill_007/

アクアスターの取り扱う商材の中でも、既に存在するキャラクターデザインやタッチに合わせて制作する版権、IPイラストと呼ばれる「絵柄寄せ」が必要な制作は、自由に描くイラストとは異なった技術を求められます。
今回は、より細かな技術に注目し、キャラクターに「似せる」工程について、実際に既存キャラクターイラストからのポーズ変更制作を例にとってお話させていただこうと思います。

今回ポーズを変えて制作するキャラクターはこちらです。

可愛い女の子の妖精さんですね！
こちらを、以下のようなポーズに変更して制作していきます。

1 制作するための資料を集める
2 横に並べ、比率を確認する
3 詳細を詰めていく
4 最終調整
5 まとめ
- 5.1 アクアスターで出来る事
- 5.2 こんなご相談も承ります。

制作するための資料を集める

キャラクターに似せて描くには、沢山の資料が必要です。
通常であれば、イメージに近い角度の顔や手足、シワ、体型の参考にする資料を各パーツ最低でも数点ずつ程集めるのですが、今回は基準になる既存イラストが1枚しかありません…。
そのような場合も、同じ作者の別キャラのイラストなども確認し、絵のくせや傾向がわかる資料として集めておきます。

同じ作者さんの素体の習作です。
体や顔のバランス、体のしなり方など、特徴がありますね。

横に並べ、比率を確認する

まずは頭やくびれなどの位置にガイドと呼ばれる基準の線を引き、そこからズレないようにアタリ（ざっくりとした位置を把握するための下書きのこと）を描いて体型や頭身を合わせていきます。
今回はアングル（視点の位置）が変わらないためガイドも並行に引きますが、アオリ（下方向から見たときの視点）や俯瞰（上方向から見たときの視点）など別のアングルになった場合は、見え方に合わせて体型を揃えます。
体型に合わせてデッサン人形をカスタマイズしてあたりにすることもあります。

詳細を詰めていく

素体（アタリを整えたもの）やシルエットが見えてきたら、細かな部分を描き込んでいきます。
服の装飾の大きさ、髪の毛束の太さ、指の描き方などなど…線一本引くのにも必ず資料を参照して描くのが絵寄せのコツです。
今回は、キャラクターの肝になる「顔」について細かく説明します。

指標のイラストが1枚しかないため、ここから角度や表情を変えていかなくてはいけません。
頭の大きさやパーツの位置、比率を測りながら、特徴を探ります。
キャラクターイラストはデフォルメされていますが、頭蓋骨があって、そこに目や口があって…というのは実際の人間と同じです。
例えば、人間の頭が縦に頷くように動くとき、顔パーツの中で一番位置が変わるのは動作の支点から一番遠い鼻頭になりますし、目や口の形も変わって見えます。キャライラストも同じなので、デッサン知識を元に目鼻を描き込んでいきます。

ちょっと猫っぽい目、顔から頭頂部までの距離、分け目の位置などガイドと見比べながら描いていきます。

ただ1つ、忘れてはいけないのは「可愛く、カッコよく、キャラクターとして魅力的に」すること、です！
デッサンに引っ張られすぎると、現実的な嘘のない面白みのない絵になってしまいますし、作品によってはデッサン的には違和感があるけど、そこをポイントとして押さえなければ似ない…という場合もあります。
作品への理解を深めておくこともイラストレーターとして大切です。キャラクターの魅力を最大限引き出せるよう、バランスを取りながら描き進めていきます。