仕事と人格の基本をつくる生き方を学べる―築地朝塾 [2017年秋]レポート
2018/02/16
アクアでは、社会貢献活動の熱い思いで設立された「築地朝塾」の趣旨に賛同し、セミナールームを無償で塾舎として提供しております。
目次
築地朝塾が開講された日
2015年秋、「次世代へ」をコンセプトにBS-TBS取締役会長・平本和生氏が築地朝塾を設立されました。
きっかけをつかめない若者に、超一流の方のお話を近くで聞いて、きっかけになって欲しい。多様性のある社会人を育てたいという思いから開講されました。
築地朝塾で学ぶのは、小手先のノウハウではなく、仕事と人格の基本をつくる生き方です。講師は、政治、経済、外交、文化など様々な分野で多方面に活躍され、今もなお挑戦し続けていらっしゃる方々ばかりです。
「生の声が聴ける」のも特徴
この時、この空間でしか聴くことのできないお話やネット・本では得ることのできない情報を、毎回、近い距離で聴くことができます。
本物の迫力を感じる刺激的な時間には、未来への期待が込められています。
朝7:00という早い時間から自分を高めたいという意欲のある人たちが参加されています。
築地朝塾第5期(2017年秋 9月~3ヵ月間、11回)が無事終了いたしました。
塾の運営委員も務めている私から、第5期を通して学んだことを一部ご紹介させていただきます。
本質と意表はイコール
第7回「本質をつきながら、意表をつく」
講師:クリエイティブ・ディレクター/TUGBOAT代表 岡 康道 氏
講師略歴
1956年生まれ。佐賀県嬉野市出身。
80年早稲田大学法学部卒。同年、電通に営業として入社。85年にクリエーティブ局へ異動。
99年7月クリエーティブエージェンシー「TUGBOAT」を設立。2004年 NYADC審査委員を務める。
東京コピーライターズクラブ会員。NY ADC会員。LONDON D&AD会員。
主なCM作品として、NTTドコモ、NTT東日本、サッポロビール、大和ハウス、キヤノン、富士ゼロックス、富士フイルムなど数々の企業ブランドキャンペーンを手掛ける引用元:日経ビジネスオンライン:http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20130726/251557/
広告業界のスーパースターにお越しいただきました。
日本初、クリエイティブエイジェンシーを作った方としても有名で、今もなお、岡さんに憧れてクリエイティブをめざす方も多いそうです。
クオリティーへのこだわり
TUGBOATのメンバーは、スタート時と変わらず4人のまま、19年。これ以上部下が増えれば、クオリティーが得られなくなるので人も増やさないと言い切る岡さんは、いいものを作って朽ちていくと語っていました。
「クオリティーさえあげていれば、いつか仕事がくる。もっとも恐れているのは、つまらない広告を作って『TUGBOATも面白くないな』という評判が立ってしまうこと。
それが僕らの一番のリスク。とにかく面白いものだけ、深いものだけを作る、というのが僕らの生き延びる道だと思って、毎日仕事をしている」
その徹底的な姿勢とクオリティーへのこだわり、プライドは相当なものだということがひしひしと伝わりました。
年間に40本くらいのCMを制作
2017年にACC(全日本シーエム放送連盟)の表彰で、TUGBOATのCMは、22本が入賞。
あのコマーシャルも、これもあれもそうなのかと、印象に残っているものが、岡さんの作品だと改めて知りました。
講演で紹介されたCM
住友生命「1UP」/トヨタ「Vitz」 /ペプシ/ドコモオリンピックキャンペーン/
大和ハウス2本立て/日清食品「ラ王」/サッポロビール黒ラベル「大人エレベーター」/
賛成と反対の意をいっしょにしない、中間をとらない
手掛けられたCMについて、一つひとつエピソードを交えながらお話してくださいました。
ご自分が手がけられた作品を会場で上映しながら笑う仕草は、誇りを持って仕事をしている人だからこそ絵になると強く実感しました。
「作品に反対意見があった場合は、反対意見をくみ入れず、反対派用にもう一つ別に作ればいい」という発想にも驚きました。シンプルでごもっともな考え方で深く納得したことを覚えています。
本質と意表はイコール
「広告の本質は経済活動の欲望、それに尽きる」岡さんが発する言葉は、キャッチコピーのようでした。
講演テーマもさすがだと思いましたが、「本質とは、何か。これは、広告業界だけではなく全てにおいて言えることで、本質を突き詰めると意表をつくということになる」この言葉にもうなりました。
本質を捉えながらどれが最善なのか、マッチするのか、期待を超えるのか。手段が沢山あるなかで純粋に突き詰めて考えぬいた人でないと辿りつけない世界であることを教えてくださいました。
講演中に「本質」という言葉が何回も出ました。数え切れませんでした。
ぶれることなく真っ直ぐに貫く姿勢は、潔く魅力満載でした。
「もう何十年もフィクション日記を書いている」というエピソードには思わず笑いました。
それも作品作りに活かされていることがあるそうです。すごい想像力です。どのようなことが書かれているのかとても気になりました。
いぶし銀で勝負しろ
第10回「信念・矜持・気概」
講師:株式会社アサヒグループホールディングス 泉谷 直木 氏
講師略歴
1948年生まれ。京都府出身。
72年京都産業大法学部卒、アサヒビール入社。
工場倉庫課、労組役員などを経て、95年に広報部長。
経営企画部長、経営戦略部長などを経て、2003年取締役に就任。
04年常務取締役、09年専務取締役を歴任し、10年代表取締役社長兼COOに就任。
11年に持ち株会社制への移行に伴い、アサヒグループホールディングス社長。14年から社長兼CEO引用元:経済界 http://net.keizaikai.co.jp/archives/8812から抜粋
講演では、実際に泉谷さんが悩んだことや経験されたこと、色々な方に助けていただいて今日があるのだという貴重なお話をたくさんしてくださいました。
まずは言われたことを確実にやる
言われたことをやると、レベルが上がる注文が増える。そのうちに部門を越える。周りの人からの大変な注文にこたえ続けることで成長することができたそうです。
当たり前のことを当たり前にやることの大切さを身もって経験された方の言葉だと思いました。
そして、信頼してもらえると会社で人気者になる。そうすると仕事がしやすくなる。周りに育てられたと教えてくださいました。
できないことは、受けない。約束しない。今でもこの姿勢は、ずっと変わらないそうです。信頼の積み重ねは強固なものになり、自分の最大の武器になることや助けになることも改めて感じました。
経営とは人を幸せにすること
人を喜ばせることが経営。経営者には、哲学が必要。
社内ではなく世の中に向かって仕事をすること、なんのためにやるのか、誰を喜ばせたいのか。この言葉は胸に響きました。
メンター(精神的支援者)から送られた言葉
(1)執行役員「沈黙を聞け」
(2)取締役「気を掴み気を動かせ」
(3)常務「恕」
(4)営業の本部長「人の心に影響を与えよ」
(5)専務「大義を考えよ」
(6)社長「山頂の松に学べ」
我慢と謙虚、権威を持て、徳の根、など、それぞれの役職の時に肝に銘じた言葉を説明してくださいました。役職に関係なく人生の中で記憶に書き留めておきたい言葉ばかりでした。
大事にしている3つの言葉「信念、矜持、気概」
「信念」これは、「今の心を人に言う」
「矜持」今持っている自分の個性・能力に自信を持ってチャレンジする。
「気概」すでに持っている気持ち。
自分がどういう目標、どういう思いを持って生活をしているのか、仕事をしているのか、そういう思いや考えをしっかりと持つこと。
仕事だけではダメ。教養を身につけること。世の中の一般常識、歴史、文化を勉強することが大事であることも伝えてくださいました。
いぶし銀で勝負しろ
『社長になったら金メダル。周りの人もチヤホヤする。本当に大事なのは金ではなくて、銀なのだ。銀もいぶし銀だ。いぶした銀はほっておくとすぐ真っ黒になり、光の輝きを失う。いぶし銀は磨いていると光を保てる。それに必要なのが働く人間としてのお前の努力だ。社長であっても、いぶし銀の実力で勝負し続けろ。』それがお父様の最後の言葉だったそうです。
本当に素晴らしい人格者でした。表情もとても穏やかで気配りされているそのきめ細やかさや器の大きさが表情にも表れていると感じました。
「自信を持って迷うこと」この言葉には、背中を押してくれたように思いました。
お話していただいたことは、ぐっと突き刺さる、時間が経つとさらに突き刺さる言葉ばかりで、必死にメモもしました。どのお話も宝物になりました。
スペシャルサプライズ
この日は、アサヒグループホールディングス顧問であり、築地朝塾でも2回講演された、外交評論家の岡本氏が駆けつけるサプライズがあり、泉谷さんに今後のことについて質問されている場面もありました。大変豪華な朝になりました。
築地朝塾5期もとても充実した朝の勉強時間となりました。
毎回そうですが、どの講師の方からも印象に残るお話ばかりでした。
この貴重な言葉をストックするだけではなく、いかに行動するのかというのが何よりも大事だと思っています。
2018年の幕が開け、平成最後の年。
第6期は、4月~スタートです。
今年も素晴らしい方々が登壇くださることを今から楽しみにしています。
築地朝塾を支援している会社として塾舎の提供だけでなく、様々なことでお役に立ちながら成長していきたいです。
ご覧くださった皆様、ありがとうございました。
アクア 築地朝塾運営委員 冨士絢子