アクア技術ブログvol.8 「迫力増大!キャラクター構図テクニック」
2021/09/09
こんにちは。社内イラストレーターの木村です。
入社10年目のイラストレーターで主にゲームイラストやアニメ等の版権イラスト制作を担当しています。
今回は主にゲームで使用される一枚絵、スチルイラスト制作の一番初めの工程である構図ラフ(レイアウトラフ)作画のご紹介です。
いかに迫力のあるイラストを作るか、アクアスター内のイラストレーターがどのように考え手を動かしているかを要点に沿ってご紹介いたします。迫力のある絵・迫力のある構図を描きたいというイラストレーターの方や、ゲームや広告のアートディレクターの方もディレクションの際の参考として是非ご覧ください!
イラストとして大事なポイントとは
こちらに社内のアートディレクターがチェックする前の構図ラフがあります。一般的にゲームのスチルイラストは物語の重要なシーンで表示されたり、レア度の高いカードとして使用されたりすることが多いイラストです。現状の構図ラフでは迫力が無く散漫でとてもイマイチな状態のため、このままの構図で線画・着彩と仕上げても良いスチルイラストになりそうにありません。
『カメラ側に手を伸ばしてきている臨場感、キャラが迫ってくるような迫力』が大事なポイントです。現時点ではイラスト全体の画角に対してキャラがこぢんまりと配置され、手元が迫ってくるような臨場感が出ていない部分が気になります。
①調整点を明確にする
まず、作業に移る前に調整するべき点を整理します。今回は下記の5点をピックアップしました。
- カメラをキャラに近づけパースを強める
- カメラを傾け画面全体に動きを出す
- 主役となる「手」の演技
- レンズ感
- シルエット(キャラクターを黒い影にしたときの輪郭の見え方)
線を更に整える次の「詳細ラフ」工程で、シルエットなどに大きな影響を出さないために手や足といったパーツの比率やデッサンもこの段階である程度整える必要があります。現時点だと重心が後ろにかかり倒れそうに見えるので、違和感がないように調整していきます。
②必要資料を集める
調整するべき点も明確になったのでサクサクと調整を進めたいところですが、ここであらかじめ作画が難しいと思われる下記の2つの資料を集めます。この事前の資料収集は非常に重要です。
- 手
- ポーズ資料
CLIP STUDIOの3Dモデルデータなどの資料にしても良いのですが、使用にも注意が必要です。今回のスチルイラストで言えば実際には踵に臀部が乗りますし、関節の動きにも3Dモデルでは限界があるため社内では実際に写真を撮影し資料とすることが多いです。
↑キャラを整えたもの
キャラが画面に大きく入り、資料を元に手に演技が付いて迫ってくるような雰囲気も出てきました!
また、紐のなびきもS字に調整したことで、キャラクターのシルエットにリズム感も追加されています。
③最終調整
キャラクターが整ってきたので、キャラが一番目立つよう背景も調整していきます。
背景の調整点は次の2点。
- カメラを傾ける
- レンズ感
カメラが傾くことにより画面全体に動きがでてきました。更に魚眼レンズのようにパースを歪め、キャラに目線がフォーカスされるよう調整していきます。
④完成
最後に前の工程で歪めたパース線に沿って背景を微調整し、手前から奥に向かってグラデーションをかけ遠近感を感じさせる空間を出して調整の完成です!
まとめ
いかがでしたか?初稿に比べかなり迫力が増したかと思います。
今回はイラストの構図ラフ制作をテーマに調整の流れをご紹介させて頂きました。
最後に改めて迫力のある絵に調整する工程をまとめてみます。
- 調整点を明確にする
- 必要資料を集める
- キャラクター→背景の順番で調整する
- パースに沿って最終調整を行う
今回は「迫力のある構図」という調整内容でしたが、他にも調整が必要な場面でも活用できる手順だと思いますので是非参考にしてください。
ユーザーやイラストを見る方に楽しんでもらえるイラストを提供すべく、社内制作部も日々邁進しております!何かお力になれることがあればお気軽にご相談ください。今回ご紹介したゲームのスチルイラストを初めとして広告のビジュアルなど様々なご要望にお応えでいる体制を整えています。
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また、イラスト制作に限らずビジュアルを活用したキャンペーンやプロモーション全体の企画・制作、デジタルコンテンツの企画提案に関しても数多くお問い合わせ頂いております。特に人気アニメやゲームといったコンテンツとタイアップした企画では、今回ご紹介した制作チームを中心にビジュアルの描き起こしから携わっています。まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。