ゲームイラストの今とこれから現場社員に聞いてみた ~イラストレーターと進行管理の目線から~
2024/02/20
調査会社のNewzooが2023年12月に公開したレポート*1によると、2023年の全世界のビデオゲーム(PCやスマホ、Nintendo SwitchやPlayStation等の専用機で遊ぶゲーム含む)の売上規模は1840億ドル(約26兆円)を超えると試算されています。前年比から0.6%の成長が見込まれており、ソフトとしても世界的なヒットタイトルが産まれるなど大きな伸びが見られました。
国内でも多くの新作ゲームが発売されており、市場はさらに盛り上がりを見せています。私達アクアスターではこのゲーム市場の中でキャラクターや背景美術などのゲーム内で使用される様々な2Dグラフィック・ゲームイラストを提供しています。
今回の記事では実際にこのゲームイラストに携わっている社内スタッフにインタビューを行い、これまでの実績を紹介しながら「制作の現場からみたゲームイラストの今とこれから」についてお伝えできればと思います。
*1:Newzoo’s year in review: the 2023 global games market in numbers
目次
アートディレクターYさんの目線
-普段のお仕事内容について簡単に教えて下さい
ゲーム内で使用されるイラストから広告やグッズに使用されるイラストの制作、仕上がりのチェック等ディレクションが主な業務です。その他にもメンバーの管理や育成・指導などにも携わっています。
主にスマートフォンゲーム向けゲームのイラストを担当していますが、コンシューマーゲームに参加することもあります。ジャンルとしてはアイドル系の案件が多いため、リアルイベントに使用されるキービジュアルや等身大のパネルに使用されるイラストなども制作しています。
さらにハイクオリティなイラストが求められている
-今、ゲームイラストではどんなことが求められていると感じますか?
新規でいただくご相談、特にこれからリリースされるタイトルに関してはさらにハイクオリティなイラストが求められていると感じています。
デザインや設定が決まっているキャラクターは、絵柄や顔、体型などの設定に忠実なことは当たり前ですがそのうえで「良い絵」「カッコいい絵」になっているか、構図やレイアウトから提案しながら詳細を詰めていくケースが増えています。それだけユーザーの方の期待値も上がっているのだとひしひしと感じています。
そのため、イラストをご発注いただくお客様も「どうすればもっといい絵になるか?」という点についての提案内容を重視する方が増えていると思います。
*アクアスター実績より『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会CDジャケット』アイドルアニメ・ゲームのCDジャケット等も多数手掛けています。
クライアントやメンバーとワンチームでイラスト制作に取り組む
-クライアントやユーザーの期待値が高まる中、どんなことを心がけていますか?
まず前提としてゲームのコンセプトやキャラクターの魅力など、クライアントの意図を汲み取って形にして応えることが重要だと思っています。そのうえで、最終的にはイラストを受け取るユーザーが喜ぶものを作りたいと思っています。
そのためには求められるハイクオリティなイラストにする必要がありますが、当然私一人の力だけで難しいため、クライアントや社内メンバー、協力してくれる外部パートナーのクリエイターの方と連携しワンチームとして仕事ができるようにと考えています。
原作の特徴を捉えた魅力的な絵作りが必要
-今後ゲームイラストではどんな需要が増えてくると思いますか?
アクアスターの得意分野の一つに「絵柄寄せ」があります。そのため、現在もアニメや漫画原作のゲームのご相談を多く頂いておりますがこの傾向は継続していくと考えています。
最近ではアニメ化された作品でも「アニメではなく原作の漫画の作風」を意識する場合もあり、より作家さんが持つ作風の特徴を捉えながら魅力的な絵作りをすることが必要になってくるのではないでしょうか。
*アクアスター実績より『Fate/Grand Order 春の新米マスター応援キャンペーン2023!キャンペーン内イラスト』ゲームのキャンペーン広告・カード用イラストを合わせて担当させていただきました。
-今後個人的にこんな案件がやってみたい!というものはありますか?
私達自身が制作するような、アクアスター独自の自社IPには憧れがあります!また、個人的には着せ替えゲームも好きなのでアイテム制作にも携わってみたいです。他にも絵本を描いてみたいですし、メンバーとは社員をVTuberにしたいね!なんてことも話したりしています(笑)
ディレクター(進行管理)Tさんの目線
-現在のお仕事について教えていただけますでしょうか?
ゲームイラストに関するスケジュール管理やクライアント・外部パートナーの方とのやりとりといった、進行管理に携わっています。自分でも案件を担当しますが、リーダーという立場でもありますので、メンバーが抱えている案件の管理やマネジメントも行っています。
ゲームイラストの案件としては、スマートフォンからコンシューマーゲーム、アーケードで使われるカード用イラストの進行管理まで幅広い案件を担当させていただきました。
アニメーションやエフェクトの重要性が高まっている
-進行管理という立場から見て、ゲームイラストには今どんなことが求められていると感じますか?
キャラクターの立ち絵一つをとってもSpineやLive2Dを前提としたイラストの仕様が多いと感じています。特にスマートフォンゲームではその傾向が多いと思いのではないでしょうか。魅力的な絵作りもそうですが、データの作り方等にも気を配って制作を進めています。
また、キャラクターの動きやアクションが特徴的なイラストでは「エフェクト」を重視する傾向も強くなっていると感じます。特にアニメや漫画を原作とするゲームではその魅力を引き立たせるために、ユニットイラストやイベントスチルでもエフェクトの迫力を出したり既存イラストとの差別化が図られると思います。
さらにクライアントの方からのオーダーも、ポーズがきっちり決まっているものから、構図やレイアウトから提案させていただくことも増えてきたと思います。アクアスターを信頼していただいていることの現れかと思いますので、そこは嬉しく思っています。
*アクアスター実績より『ソードアート・オンライン アンリーシュ・ブレイディング ゲーム内イラスト』
中国や韓国発のゲームの勢いが続く
これはだいぶ前から言われていることではありますが、中国や韓国といった海外のゲーム用のイラストのご相談も引き続き増えていると思います。
最近では日本のIPを海外のメーカーさんがゲーム化する…ということもあるため、版権イラストが得意な弊社にご依頼をいただくことも少なくありません。
-進行管理としてはどんなことを心がけていますか?
ゲームイラスト制作に携わる方全員がストレス無く、進行できるように心がけています。クライアントは勿論ですが、外部パートナーのクリエイターさんからアクアスターを含めた3者がどうやったら気持ちよく仕事ができるかを常に考えながら、案件を進めています。
キャラクターの指示書の制作・企画からも携わっていきたい
-今後はどんな案件に携わっていきたいですか?
先程の構図の提案とも関わる話なのですが、そもそものキャラクターの設定や指示書を作るところからにも携わっていければ…と思っています。そこから発展していずれは自分たちで企画したキャラクターのように自社IPをにも携わってみたいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は現場で制作に携わるアートディレクターと進行管理の目線から見たゲームイラストの今後についてご紹介しました。市場がさらに広がりを見せる中、ゲームイラストに求められる期待も高まっていることを二人の言葉からも実感しました。
アクアスターはアートディレクターと進行管理で構成された40名以上の経験豊富なスタッフで様々なニーズにお応えするゲームイラストを数多くご提供してきました。30年以上培ってきた確かなイラスト技術でユーザーの高い期待にも答えるビジュアルをご提供します。
また、ゲーム内のイラストだけでなく最近ではゲームのプロモーションも同時にご支援させていただいています。SNSを活用したキャンペーンやアニメーション、ARコンテンツの企画・開発までワンストップで対応可能です。
ゲーム開発の現場に携わってきたからこそ、その魅力を最大限に届けるソリューションをご提案させていただきます。