アクアスター技術ブログvol.12_キャラクターを生む!Neo-N新規キャラデザインのコツ
2022/03/02
こんにちは!アクアスターイラストレーターの田中です。
アクアスターが発信するYouTubeチャンネル「エレスポチャンネル」にて好評配信中のマンガ動画「Neo-N」。前回は、本編のアニメに付随してTwitterで更新中のNeo-Nマンガを例にマンガ展開のコツをご紹介いたしました。
今回は、Neo-Nに登場する新規キャラクターのデザインのコツについてご紹介していきます。コンテンツの世界観を形作る「キャラクターデザイン」の参考になるかと思いますので是非最後までご覧ください!
目次
今回デザインするキャラクター
現在のキャラクターについて
「Neo-N」ではネオン・ゼンイチ・ティア・グリッチ・ピコピコという5人のメインキャラクターが存在しています。
▼メインキャラクター
ストーリーが展開していくにつれ、新しい展開の創出や既存キャラの個性をより強調するため、2体の新規キャラクターを作ることになりました。
敵側のボス、グリッチの手下である「ノイズ」と、主人公側ネオンやゼンイチのサポートキャラ「ピコピコ」がゲーム世界内で人型バージョンです。
その新規キャラクターデザインがこちら!
2体ともビジュアルに特徴があり、どんなキャラなんだろう…?と気になりますよね。
ここからは、このキャラクターが登場した過程や意識したポイントをご紹介します。
キャラクターの特徴を決める―デザインを起こす前-
まずキャラクターを作る際に大切なのは、既にある世界観の中で特徴のある新規キャラクターを作りたいのかあらかじめ整理することです。
「ノイズ」と「ピコピコ人間ver」を作るにあたって、以下の項目がデザインを起こす前の要素です。ここから、他キャラクターと馴染むようにキャラクターデザインを行っていきます。
「ノイズ」
- 敵であるグリッチの手下。
- バグから生み出された存在。
- 言動が幼く無邪気。
- 立ち位置としては、毎話主人公等に悪事を働いては撃退される定番悪役。
「ピコピコ」
- 主人公のネオンと共に、世界からバグを探す手伝いをしているサポートキャラ。
- ピコピコ自身もバグから生まれている。
- 登場回では、探偵服を着た状態で出てくることになる。
ノイズとピコピコの共通項目
- ノイズとピコピコは、同じバグから生まれた存在なので対を意識したい。
以下の画像は今回のデザインの参考となる既存キャラクターのグリッチとピコピコ 通常verです。ノイズとグリッチの2つのキャラは衣装に統一感がありますね。ピコピコ通常verと人間verでは色味やイメージがなんとなく似ているように感じます。
では、どのような点を意識すれば既に存在する世界観に合ったキャラクターを生み出せるのでしょうか。
既にある世界観に、違和感なくキャラクターデザインを合わせるコツ
世界観及び既存キャラ全体のトンマナから外れないようにする
Neo-Nの世界観から外れないように以下の要素に注意してデザインを考えました。
- 現在の登場キャラクター同様でサイバー感のある、ビビッドなカラーを使用
- 登場キャラクターは、頭身が低めで子供向けアニメに出てくるような現実にはあり得ない髪型やシルエット
- デジタルやゲームを意識したモチーフを埋め込む
以上の要素が、Neo-Nのキャラクターデザインで共通する特徴(レギュレーション)なので、この要素を土台として崩さないように具体的なデザインを考えていきます。
この段階では、まだキャラクターのベースがあるだけの状態です。
キャラクター間の関係性や所属が見えるデザインを意識する
ノイズ
グリッチの手下である敵側のキャラクターのため、グリッチと並んでも違和感がない近しいデザインにした方が仲間だと伝わりやすいです。
そのため、まずはグリッチのキャラクターデザインを分解して見ていきます。
- 全身が黒と紫ベースの悪役っぽいカラーリング
- トゲや犬歯の目立つギザギザとしたデザイン
- 口元や耳を隠すマスク
- 三角のマーク
これらの要素を拾うことで、グリッチとノイズが仲間であることを視覚的に伝えることができます。
ピコピコ
ピコピコは味方サイドではありますが、これといって誰かとグループ関係を持っているわけではありません。そのため“ネット上の存在”であるネオンやノイズといったキャラクターに共通する要素を選びつつ、通常verであるコントローラーのカラーリングを使って明るいキャラクターに見えるようにデザインしました。
また、ピコピコとノイズに共通する要素として、主人公のネオンと同じく性別の設定がないため、どちらとも取れるような中性的な見た目にしていきます。
パッと見で個性を認識できるデザインに落とし込む
2体のキャラクターデザインに必要な要素が揃ってきました。あとは、キャラクター自身の設定や性格に合わせて方向性を決めていき、具体的なデザインに落とし込んでいきます。
ノイズ
- 全身は黒ベースで、グリッチの紫×作中のバグ描写に出てくるグリーンを意識
- トゲやマスクは出すが、ボスのグリッチよりは控えめなデザイン
- 無邪気さを出すために吊り目っぽくして、ニヤリとした顔つきに
- 中性的に見えるように、性別の特徴が出る体のラインは出さないようにする
- ぱっと見に人間ではないことが分かる要素をどこかに入れる
- ピコピコと共通した部分を作る
ピコピコ 人間ver
- 基本的なカラーリングはコントローラー状態のものに準じる
- 全体的に優しくぼやけた色味になりそうなので、締め色でネオンに使われている強めのピンクを追加
- 探偵服にコントローラー的な要素を入れ込む
- 元の印象を損なわない、明るく可愛らしい顔つきにする
- ノイズと共通した部分を作る
このように様々な角度から検討を重ね、ノイズとピコピコ 人間verが完成しました!
複数入れたい要素がある中で、ノイズはぶかっとした袖長のシルエットでイタズラオバケのような印象に、ピコピコ 人間verはグレートーンに落ち着きすぎないようにしつつ、頭のシルエットはコントローラーを意識してデザインしました。共通点として、二人ともビリビリ型のアホ毛を入れています。
ちなみに一発でキャラクターデザインが確定することはなく、色々な方向性のアイディアを出しながらより魅力的になるようにブラッシュアップしていきます。
▼今回のラフスケッチ
(決定したデザインとは大きくイメージが異なっているのが分かると思います…)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
既存の世界観に合わせたキャラクターデザインのコツはこちらになります。
- 世界観及び既存キャラ全体のトンマナから外れないようにする。
- キャラクター間の関係性や所属が見えるデザインを意識する。
- パッと見で個性を認識できるデザインに落とし込む。
制作チーム内では、キャラクターデザインを詰めながら「この見た目だったらノイズの一人称はワタシじゃなくて自分の名前じゃない?」など、逆にビジュアルに設定を合わせるような場面もありました。最初に決めた設定だけに引っ張られず、ビジュアルから設定を膨らませるのもいいキャラクターを作るコツかもしれません。
既存の作品の世界をもっと広げてみたい方へ、少しでも参考になればと思います。
Neo-Nでは他にも魅力的なサブキャラクターがたくさん活躍していますので、ぜひ覗いてみてくださいね。今後の更新もお楽しみに!
▼二人が活躍するネオンのアニメ動画はこちらから!ぜひご覧ください。
< ピコピコの人型が登場するTRPG回はこちら>
<ノイズ登場回はこちら>